「またグループワークか…」と研修の設計に悩んだことはありませんか?
企業の研修担当者なら、「グループワークが形だけで無意味」という声を聞いたことがあるでしょう。研修効果を高めるはずのグループワークが逆効果になっているケースは少なくありません。
本記事では、グループワークが効果を発揮しない理由を分析し、チーム学習の本来の価値を最大化するための具体的な実践方法をご紹介します。
グループワークの研修が「無意味」と感じられる理由

目的が明確に伝わっていない
グループワークの目的や期待する成果が参加者に明確に伝えられていないケースが多く見られます。
「なぜこれをやるのか」という基本的な理解がないまま進められると、参加者は単なる時間つぶしと感じてしまいます。
ゴールが見えない状態では、何をどう話し合えばよいのかわからず、議論も深まりません。
話し合える環境が整っていない
いきなりグループワークを始めても、参加者が打ち解けていない状態では効果的な議論は期待できません。
心理的安全性が確保されていない環境では、意見を自由に出せず、表面的な意見交換に留まってしまいます。物理的な環境設定や時間配分も適切でないと、ストレスを感じる場になりがちです。
ファシリテーターのスキル不足
多くの研修では、ファシリテーターが単に「話し合ってください」と指示するだけで、議論の進行や深化をサポートできていません。
グループワークの進行には、講義型とは異なる特別なスキルが必要です。議論が停滞したときの介入や、発言の少ない参加者へのサポートなど、適切なファシリテーションがないと効果は半減します。
テーマ設定と参加者構成の問題
参加者が興味を持てないテーマや、実務と関連性が薄い抽象的な課題では、積極的な議論は生まれません。
また、グループのメンバー構成が偏っていたり、意欲の差が大きかったりすると、一部の参加者だけが主導する状況が生まれ、全員の学習効果が低下します。
グループワークの研修を効果的にする方法

目的と期待値の明確な説明
グループワークを始める前に、その目的と達成すべき成果を明確に伝えましょう。
「このワークを通じて何を学んでほしいのか」「終了後にどのような状態になっていればよいのか」を具体的に説明することで、参加者は自分の役割と方向性を理解できます。
また目的意識を共有することで、議論の質も向上します。
アイスブレイクと関係性構築
本格的なグループワークの前に、参加者同士が打ち解けるためのアイスブレイクを取り入れましょう。
簡単な自己紹介ゲームや、チームでの軽い課題解決など、心理的ハードルを下げる活動を行うことで、その後の議論がスムーズになります。
また関係性ができていれば、意見の衝突があっても建設的に解決できます。
効果的なファシリテーション技術
ファシリテーターは、各グループの状況を観察し、必要に応じて介入することが重要です。
議論が停滞しているグループには質問を投げかけ、一部の参加者だけが発言している場合は発言の少ない人にも声をかけます。
また、グループワークの途中で進捗確認や方向修正を行い、最後には適切なフィードバックを提供しましょう。
興味を引くテーマと適切なグループ編成
参加者が自然と議論したくなるような、実務に関連したテーマや現実的な課題を設定しましょう。
また、グループ編成は意欲や経験のバランスを考慮し、多様な視点が生まれる環境を作ることが大切です。
さらに、チーム単位でのインセンティブを設けることで、連帯感と責任感を高めることができます。
グループワークの本来の価値と効果
適切に設計・実施されたグループワークには、個人学習では得られない多くの価値があります。
改めてその効果を理解した上でグループワークを設計しましょう。
チーム学習の学術的根拠

カリフォルニア大学の研究では、成績優秀者はチームで学習する傾向があり、成績不振者が同様の学習スタイルを取り入れると成績が向上することが証明されています。この研究によると、チーム学習では問題の本質理解に多くの時間を割けるため、同じ学習時間でも効率が高まります。学習とプライベートの境界がなくなり、常に学びの姿勢が身につくのも特徴です。
多様な視点からの学習効果
グループでの議論を通じて、自分一人では気づかなかった視点や解決策に触れることができます。異なる経験や知識を持つメンバーの意見を聞くことで思考が広がり、課題に対する理解が深まります。また、自分の意見を言語化し他者に伝えることで、知識の定着率も高まり、実践での応用力が向上します。
コミュニケーション能力の向上
グループワークは必然的にコミュニケーションを必要とする場となります。自分の考えを論理的に伝える力、相手の意見を傾聴する姿勢、異なる意見の中から合意を形成する調整力など、実務で必要なコミュニケーションスキルが自然と身につきます。これらは講義型の研修では得られない価値ある経験です。
主体性と協調性の育成
少人数のグループでは一人ひとりの役割が重要になるため、自然と主体的な参加が促されます。また、チームとしての成果を出すためには他のメンバーと協力する必要があり、協調性や責任感も養われます。これらの経験は、実際の職場での問題解決やプロジェクト遂行に直結するスキルとなります。
実践に役立つグループワークの事例

グループワークには様々な形式があり、研修の目的や参加者の特性に合わせて最適な手法を選択することが重要です。それぞれの手法の特徴と適した場面を知ることで、より効果的な研修が実現します。
課題解決タイプのグループワーク
実際のビジネスシーンを想定した問題や、社内で実際に起きた事例をもとに解決策を考えるグループワークです。講義で学んだ知識を実践的に応用する機会となり、知識の定着と実務への転用力を高めます。各チームでの検討結果を発表し合うことで、さらに多様な解決アプローチを学ぶことができます。
ディスカッションタイプのグループワーク
特定のテーマについて意見を交換し、グループとしての見解をまとめるワークです。明確な正解がない問いに対して自分の考えを整理し、他者の視点も取り入れながら結論を導く過程は、実務での意思決定プロセスに近い経験となります。論理的思考力や多角的な視点の獲得に効果的です。
作問学習を活用したグループワーク
参加者自身がテーマに関する問題を作成し、相互に出題・解答するワークです。問題を作るためには深い理解が必要なため、自然と学習内容の本質に迫る思考が生まれます。研究によれば、作問学習は学習意欲の向上と理解の深化に高い効果があり、6割以上が学習意欲の向上を、7割以上が理解の深まりを実感しています。
チームビルディング型のグループワーク
共同で一つの成果物を制作するなど、チームとしての一体感を醸成するワークです。新入社員研修などでよく活用され、参加者同士の相互理解を深める効果があります。制作過程で自然と役割分担が生まれ、お互いの強みを活かす協働の経験となります。研修初期のアイスブレイクとしても効果的です。
グループワークの価値を最大化するサービス:CREW

グループワークの課題を理解し対策を講じることで、その学習効果は大きく高まりますが、これまで見てきたように、グループワークには目的の不明確さやファシリテーションの課題などがあります。
これらの弱点を解消するために、「チーム学習型研修」という新しい研修の形が生まれています。私たちが提供するCREWは、グループワークの良さを活かしながら、その問題点を解決することを目指しています。
CREWとは何か?
CREWは、グループワークと個人学習の良さを組み合わせた新しい研修サービスです。従来のe-Learningなどの個人学習や集合研修とは異なり、最新のテクノロジーを活用したチーム学習環境で、参加者の連帯意識を高めながら学習効果を最大化します。
具体的には、以下のような特徴を持つ研修プログラムを提供しています。
4-5名の少人数チームによる学び合い
専門トレーニングを受けたコーチの伴走支援
Zoomやslackなどのコミュニケーションツールを活用
ChatGPT等の生成AIによる24時間質問対応
「1人でも不合格だと全員不合格」というインセンティブ設計
1日単位で区切られた明確なカリキュラム
CREWが提供する主なサービス
CREWでは、主に以下のような研修プログラムを提供しています。
新入社員研修
ビジネスマナーからIT基礎知識まで必要なスキルを網羅
チームビルディングを通じた定着率向上
社会人基礎スキルの実践的習得
資格取得コース
G検定(AI資格)合格コース(合格率100%実績)
ITパスポート合格コース
DS検定(データサイエンス)合格コース
金融IT検定(初級)合格コース
プログラミング研修
新卒・若手向けプログラミング基礎
実務に直結するコーディング能力育成
チーム開発の基礎学習
従来のグループワークの課題を解決
従来の研修でグループワークが効果を発揮しない原因とCREWによる解決策を見てみましょう。
課題 | 従来型研修 | CREWの解決策 |
目的の不明確さ | 「話し合ってください」だけの指示 | ・研修開始時の「キックオフ」で目標と期待値を明確に提示 ・毎日の「Daily」ミーティングで具体的な学習目標を確認 ・コーチによる目的達成に向けた進捗管理と軌道修正 |
環境づくりの不足 | いきなりグループワーク開始 | ・研修開始前の自己紹介と関係構築プロセス ・チームビルディングのための専門的なアイスブレイク活動 ・4-5名の適切な規模でのチーム編成による心理的安全性の確保 ・懇親会など、公式・非公式の交流機会の設定 |
ファシリテーション不足 | 講師の力量に依存 | ・認定コーチを各チームに配置 ・グループワーク後の効果的なフィードバック提供 ・技術PMによる専門的な内容サポートの連携体制 |
学習の継続性 | 研修内で完結 | ・「キックオフ→Daily→週次振り返り→ニュースタート」の4つの継続的活動 ・毎日の学習報告と相互フィードバックによる習慣化 ・週次での振り返りと目標調整による長期的な視点の維持 |
参加意欲の差 | 個人の意欲に依存 | ・「1人でも不合格だと全員不合格」というチーム単位のインセンティブ設計 ・全員の進捗を可視化するダッシュボードによる相互支援の促進 ・チーム内での役割分担と相互責任の文化醸成 ・貢献メンバーの称賛システムによるポジティブな相互作用の強化 |
専任のコンサルタントが貴社の状況やご要望を丁寧にヒアリングし、最適なプランをご提案いたします。
既存の研修に課題を感じられている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
「形だけで無意味」という声も聞かれるグループワークですが、適切に設計すれば高い学習効果を発揮できることは間違いありません。
目的の明確化、効果的なファシリテーション、適切なテーマの設定など、今回ご紹介したポイントを踏まえて、チームの学びを深める仕組みづくりを考えてみてくださいね。